ママタルトのパパン

2011.06.16.Thu.22:13
悲しい寂しい話しだけど読んで欲しくて


『ママタルト』は間違いなく
代官山で一番美味しいケーキ屋さん

20年近く前
初めてママタルトに入った時の感動を
よく覚えているわああああ


当時の代官山は
今より店はグッと少なくて早じまいの店が多かった

ある冬の日
もう7時には真っ暗でね
寒くてね
友達と一緒でね

どこかで暖かいお茶を飲みたかった

踏み切り渡って坂を上がった
代官山の丘の上

フッと左をみたら
ツタの絡まる
おとぎ話のおウチみたいな外観の建物があった

暖かいオレンジ色の明かりに吸い寄せられて近づいた

『ママタルト』と書かれた木のプレートと
丸いホールのケーキが本当に美味しそうに並んでいるのが見えた

どうせ…閉店ですって言われるのを覚悟して中に入った

20時閉店らしく

中に入れてくれた

どんな所でも
お茶が飲めれば嬉しかったけど
お茶だけじゃなくて
本当に美味しそうなケーキまである

しかも素晴らしく上質な
ファンタジーな世界観を持つ店

天井は高くて
レンガの暖炉があって

木の階段
木のテーブル
木の椅子

陶器の洗面台

オールディーズなアメリカンな絵があったり

年代を重ねた外国っぽい玩具が並んでいたり

メルヘンチックな中にもインテリジェンスな雰囲気が溢れていてハイセンス

もちろんだけど
お茶とケーキは
夢みたいに美味しかったわあああ


感動してね

一生懸命お店を見まわたしたら

三階の窓が見えた


どうやら一階二階が店舗で
三階は住居スペースみたいだった

このウチの家族と仲良くなりたいいいって強く思ったのを覚えている

それから13年くらい経った頃に
あたしは三回目の引っ越しを終えた

偶然にも『ママタルト』の数軒先のマンションだった

二年くらいして
近所の人のホームパーティーに呼ばれた

そこで『ママタルト』の松尾夫妻と会う

あたしは『ママタルト』に感動したこと

ママタルトの家の人と仲良くなりたいと思っていたことなど 全部話した
ワイン飲みながら
夜中まで

楽しかったわああ

ママタルトの松尾夫妻のことを
あたしはパパンとママンと呼んだ

ママタルトのケーキは
ママンが毎朝5時に起きてつくる

ママタルトの二階の上半分は『オンザヒル』といって息子の昌平ちゃんがマスターをしているバーがある
ご飯も充実
代官山の若者で賑わっている

もう半分はパパンがマスターのワインバーがある

オンザヒルの客層より年齢はグッと高いが
やはり賑わっていた

年代物のスタンウェイのピアノがあり

書斎のような重厚な椅子がおかれた
小部屋があり

圧倒的な青い魚をモチーフにしたデッカい木版画がある小部屋もあり

スタンウェイは
天井も窓もガラスの部屋にあり
そこにパパンがいつもいるカウンターもある

ガラスの天井にしたのは枝垂れ桜があるからで
桜が大きく大きなったらガラス天井に這わせると言ってたねパパン


パパンはワインのソムリエの資格をとったけど
試験勉強のパパンの様子は子供みたいで面白かった
合格した時は
本当に嬉しそうだったね

あの頃からかな?

パパンの料理の腕が一段と上がったのは

夜な夜なパパンに会いに通ったカウンターで
美味しいワインと
美味しいパパンのご飯と、お喋り、楽しかったああああ

パパンが作る
栗のスープが
あたし大好きだったよね
よくおかわりしたよね

パパンのカウンターで
いろんな人と知り合ったわああ

パパンの人柄で
面白い人が多かった

あたしは結婚の保証人をパパンとママンに頼んだ

保っちゃんと相談してパパンとママンに頼もうねと
前日夜に婚姻届もってパパンの店のカウンターで
パパンとママンにサインしてもらった

初めて『ママタルト』に行った時には
まさかこんな展開が待っていようとはね

クリスマス
あたしたちの結婚パーティーで400人の前でパパンはスピーチしてくれた

みんな笑ってた
嬉しかった
有り難う
タキシードかっこよかったよ
ママンも綺麗だった


夏休み
シャワーあびて
家のリビングから
パパンとママンのウチのベランダが見える
なにやら楽しげだ

声は届かない

電話で聞いてみた

ベランダ掃除して
今夜はベランダでディナーだから、おいでと言われた

髪の毛をタオルで、ふきながら保っちゃんと出掛けた

パパンとママンと
4人でベランダディナー
2人ともプロの料理人だもん

最高

パパンの携帯が忙しくなる
みんなに、おいでよという

最後は何人集まったかなぁ?忘れたけど楽しかったああ

お風呂も素敵でね
ウチは数軒先なのに お風呂入ったよね

そんで壊しちゃったんだよね

ごめんね

浜松も行ったね
ウナギ食べて

大工もプロ並みのパパンはウチのテーブルの足もつくってくれて

ウチのベランダのヨシズまで
窓枠にはめてつくってくれた
暑い夏でパパン
熱中症になっちゃったんだよね
ごめんね

パパン有り難う
いっぱい有り難う

先日
6時12日の朝

パパンは天国に旅立れました

麻布十番の、お寺で葬儀がありました

美しく気品があって
立派な葬儀だった

パパンがワインバーをやる前に働いていた博報堂のクリエイティブボックスは
博報堂がパパンの好きにしていいよと
与えたオモチャ箱のようだったと
告別式で話をなさった博報堂の常務取締役の方の話も
素敵だった

博報堂に
初めてジーンズで出社した伝説を作った男がパパン
松尾昌介であると


パパンが築地の癌センターから
やっと代官山に帰ってきたと聞いて
葬儀の前
パパンに会いに行った

本がいっぱいある
パパンの部屋のベッドにパパンは戻っていた

ママンが泣きながら最後の様子を話してくれた

苦しそうな息のパパンに『大丈夫?』と背中をさすって言ったママンに
『君は大丈夫?』とパパンが言ったそうだ

それが最後の言葉だったとか

ママンは『本当に幸せだった』と言って涙を流していた

今週
ママタルトは休み

8ヶ月間
パパンの病院の通院とママタルトを休まずクリアしてきたママン

ママンお疲れ様でした

ママタルトが再開したらケーキ食べに行くよ

また久しぶりに
ゆっくりお喋りしようね

パパンへ
お疲れ様でした
本当にパパンにあえて楽しかったよ

あたしが
そっち行ったら
また遊んでね
いろいろ開拓しといてね
案内してよ

もう一回
一緒にワイン飲みたかったよ

栗のスープ飲みたかったよ


そうだ

ハロウィンのカボチャくり抜いてくれた時も楽しかったああ


パパン有り難う

ウラン
コメント
悲しい
でも、とても温かな気持ちになりました。

周りの人を愛し 愛された
ステキな方ですね♪

今度お店を探して、ぜひ行ってみたいと思います。
まるで小説のように一気に読みました。。。
20年前の出来事がつい最近のように思えるでしょ?

このウチの家族と仲良くなりたいって強く思い、現実にそうなり結婚の保証人にまで…
なにか強い縁で結ばれてたんでしょうね。。。

ステキな想い出を大切にね♪ うらん姉さん ♡

そうそう、オンザヒルってどこかで聞いたことあるな…???って思ってたら…
私と同じヤフーブログやってた人だ!と思い出し、久々に訪問してきましたw
たまーに 覗いてたの♪ で、姉さんの記事みて驚いた!

松尾 昌介さまの、ご冥福をお祈りいたします。

オン ザ ヒル 丘の上通信
代官山の小さなワインバー「オンザヒル」の日々をお伝えしたい。

http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke0425/archive/2011

私も近所だったら行ってみたいな~ ♡
久々の更新もウレシイよぉ~♪

姉さん、ごめん  m( _ _ )m

↑ URL間違えたwww

オン ザ ヒル 丘の上通信
代官山の小さなワインバー「オンザヒル」の日々をお伝えしたい。
http://blogs.yahoo.co.jp/shosuke0425

息子の昌平さんが φ(・ω・` )カキ、カキ してるよ♪
いつも、のぞき見ばかりだったからコメント残さなかったけど… (汗)
知ってました???
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